17 デリカシーの壁が崩落した上司の事例 - 迷走企業のサラリーマンあるある

何年か前の話。
出張で某取引先（わりと大手）を訪問した際、Ａ部長と若手社員Ｂさんのやりとりが聞こえてきた。

Ａ部長
一一一一一一一一一
このあいだFacebookから自動配信のメールがきて、おまえ（Ｂさん）と友達にならないかって内容だったよ。

それで、ちらっとおまえの投稿見たけど、なんだありゃ。
「現在○○駅の居酒屋で一人飲みなう」
って、安そうなビールとつまみの写真をアップして。だからなに？

しかも「現在」と「なう」は被ってるじゃねえか。「頭痛が痛い」とかガチで言ってんじゃねえのか、おい？

他にも、飼い犬とじゃれてる写真をアップして、可愛いとかなんとかって書いてあったけど、
小学生の投稿かと目を疑ったぞ。

そんなくだらない、クオリティの低い投稿を毎日毎日、しかも１日に何回もアップしまくってるんだな。
己が「よほどの暇人＆かまってちゃん」であることを公開してることになってるんだけど、気がついてないだろ？
よく恥ずかしくないよなあ。
あ、気がついてないから、恥ずかしいもクソもないのか。（笑）

おまえの投稿をお情けで読んでくれてる人達に申し訳ないと思った方がいいぞ。貴重な時間を奪ってしまってすいませんって。

しかし、その鈍感力を仕事にもっと活かせればいいんだけどなあ。ちょっと叱られたらすぐ凹んじゃうだろう。
・・・ん？　また凹んじゃったか？
一一一一一一一一一

Ｂさん
一一一一一一一一一
（半泣き。なにかゴモゴモしゃべってるようには見えるが聞き取れない）
一一一一一一一一一

Ａ部長
一一一一一一一一一
・・・しかし、あれだな。驚いたのは、そんなくだらねえ投稿に対して思いのほか『いいね』がたくさん付いてるんだよ。失笑だよ。しかもご丁寧にコメントまで書いてくれて。

みんなああやって傷を舐めあって慰めあって満足してるのかねえ。俺に言わせれば「くだらねえ」の一言で終わるんだけど。

まあ、おまえに限らずFacebookとかブログとかツイッターとかやってる奴のほとんどはそんな使い方してる頭の弱い奴らばっかりだってことは知ってるよ。
　
だからおまえだけをディスってるわけじゃないから安心していいよ。
一一一一一一一一一

以上がおおよそのやりとりである。
やりとりというよりも一方的で、公開処刑ともいうべき何とも痛ましい光景だった。

フロアには多くの社員がいたが、みな知らんぷりで仕事をしていた。
おそらくA部長のこういった部下への当たりは今回に限ったことではないのだろう。

以前の記事でも書いたが、職場というのは、ある種、閉鎖的なところである。
昔に比べればだいぶ改善されてきたとはいえ、まだまだ権力を持った人の発言が、たとえ理不尽であっても正義として通ってしまうところが多分にある。

興味深いのは、Ａ部長のその行為に対して世間の賛否が分かれるところである。
一見すると、
・デリカシーが欠落しているひどいＡ部長
・一方的にディスられて気の毒なＢさん
という構図になるかと思いきや、
Facebookなどを利用しない派の多くはA部長と同じ考えを持っていることを筆者は知っている。

きっとフロアの中にも、Ａ部長の発言を心の中で称賛した社員もいたことだろう。

ただ、そういった人達は自らに
「デリカシーの壁」
を作れているため、発言を制御できている。
よって明るみに出ることはなく、トラブルにならずに済んでいる。

価値観の押し付け合いは宗教論争的なトラブルに繋がる。
一人一人が「デリカシーの壁」を築き、それを越えないことが肝要だろう。