19 真の社会悪はそこにいる擬似健常者たち - 迷走企業のサラリーマンあるある

筆者が通勤で利用しているバスには、時折、20代と思われる自閉症の女性が途中から乗車してくる。

彼女は、乗車するなり自作と思われる物語を、鼻息を荒げながら大きな声で語っている。毎日それの繰り返し。

また、彼女は決まって前屈みで座るため、真後ろの席に座られた場合は、彼女の顔が筆者の後頭部に近接することになる。

するとどうなるか。彼女は筆者の耳元で大きな声で叫んでいる構図となる。しかも荒い息遣い付き。フガフガ言いながらしゃべっている。
そして時折、生暖かい息が筆者の首に降りかかってくるという鳥肌ものの臨場感抜群の特等席となる。

世間では、基本的に
「障害者には寛大に接しなければならない」
という風潮になっているが、過剰に擁護しすぎている面があるのではないかと筆者は思っている。
仮にこの場で、
「静かにしてくれ」
などと注意しようものなら、逆に筆者が周囲から非難されるのだろう。

赤ちゃんを連れた母親が公共の場で強い態度にでているのに対して何も咎められないのと似ている。
以前こんな醜態を目撃した。
下品にゴテゴテに着飾ったベビーカーを引いた母親が、満員電車にドヤ顔で乗車している様子。
その母親は始終、赤子を連れていることを武器にふてぶてしい態度で周りを威圧していた。
無論、ベビーカーを畳んで赤ん坊を抱っこするような謙虚な気持ちは毛頭感じられないどころか、ベビーカーに指一本触れようものなら、食ってかからんばかりの殺気があった。

たしかに少子化が問題視されている去今、子育て母の社会的貢献度は高いのだろう。
しかし、それは「将来世の中の役に立つ人間を育てる」ことが前提だ。
あの母親を見ていると、どうもそうは思えなかった。
「将来の社会悪予備軍」である子供を持つ母親を擁護するほど、社会はお人よしになってはいけないと、筆者は思っている。

さて、話を自閉症の彼女に戻そう。
バスに乗車してくるその彼女もしかり、精神障害者は『他人の目』を気にすることなく、罪の意識がない。さらに健常者たちの擁護も加わるため、何も手を出せず無法地帯になる。
非常にタチが悪いスパイラル。

しかし、筆者は最近になって思い直したことがある。。。
『他人の目』を気にしない。
これは実は精神障害者に限ったことではないのかもしれないと。

ベビーカーを引いたあの婦人を始め、
世の中で健常者という位置付けで生きている人達の中に、私も含めてどれだけ「真の健常者」がいるのだろう。

キレやすい、
喜怒哀楽が激しい、
人に攻撃的になる、
人の不幸を喜ぶ
……こういった排他的思考を持つ人間は、自閉症に劣らぬ立派な病なのではないか。
いや、ある意味、こういった擬似健常者が最もタチが悪いのかもしれない。

そう考えるようになってからは、幾分、彼女に対して寛大な気持ちが芽生えてきた。
耳元で喚かれても、鼻息を吹きかけられても、多少の鳥肌程度で耐えられる心が芽生えてきた。

少なくとも自閉症の人達は、悪意を持って人を苦しめるようなことはしない。

真の社会悪はなにか。
健常者として偉そうに振る舞っている『擬似健常者』たちなのかもしれない。

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